海外の金融機関で仮想通貨に好意的なところとそうでないところがあるのはなぜか?

ビットコインは既存の金融システムへの対抗手段?

 

皆様、こんにちは。前回は、流動性が低くあまり人気のない仮想通貨である草コインについて解説しました。今回は、海外の金融機関が仮想通貨に好意的なところとそうでないところがある理由を説明します。

 

現在は仮想通貨評論家をやっている私ですが、以前は外資系金融機関で15年以上勤務しており、ニューヨーク・オフィスで2年間働いていたこともありました。

 

ニューヨークにはゴールドマンサックスやJPモルガンなどの大手金融機関が本拠地を構えており、これらの会社の経営陣がビットコインなどの仮想通貨に関する発言を連日のように行っており、それらの内容がニュースで報道されています。

 

海外の大手金融機関は米ドルやユーロなどの法定通貨を通じてビジネスを行っており、毎年数兆円規模の利益を稼ぎ出しています。

 

金融機関の場合、法人顧客を相手に業務を行っている投資銀行と個人を中心にビジネスをしている商業銀行に分かれており、仮想通貨に対する認識や方針についても投資銀行と商業銀行ではスタンスが異なる傾向にあります。

 

2008年にサトシ・ナカモトという謎の人物が、インターネット上で9ページの短いPDF論文を発表しました。

 

ナカモトはこの論文の中でビットコインの説明を行っており、既存の金融システムが抱えている高い送金手数料と長い決済時間を解決する手段として、仮想通貨であるビットコインを提唱したのでした。

 

私自身が所属していた金融機関で1万円を日本からアメリカに送金しようとすると、日本円を米ドルに転換するための外国為替手数料、送金手数料、受け取る側の銀行で発生する着金手数料(リフティング・チャージ)などが発生してしまいます。

 

その結果、日本から送金しようとした1万円の半分以下しかアメリカの銀行口座に反映されないことになり、何のために送金したのか分からなくなる事態に陥ってしまうのです。

 

また、法定通貨の海外送金を行うと、送金処理を行ってから数日経過しなければ着金確認ができないケースがあります。

 

ナカモトがビットコインを通じて解決しようとしたのは既存の金融システムが抱えているこれらの問題であり、2009年から実際に開発が始まったビットコインは急拡大し、2017年10月時点で時価総額が10兆円を超える規模にまで成長しました。

 

海外の投資銀行や格付け機関は仮想通貨に好意的?

 

2017年10月に入り、アメリカの大手投資銀行であり、世界中の金融機関がもっとも恐れる存在であるゴールドマンサックスが、仮想通貨ビジネスを開始する予定であるとアメリカの大手新聞などが報じました。

 

ゴールドマンサックスは仮想通貨ビジネスに関する公式な発表をしていませんが、ゴールドマンサックスのスポークスパーソンは、「顧客のためにあらゆる可能性を検討している」とコメントしています。

 

ゴールドマンサックスなどの投資銀行の場合、取引先の多くが法人であり、年金基金や保険会社などの運用ニーズがある顧客を持っています。

 

仮想通貨価格が2017年に入って高騰しており、投資銀行の顧客の中から仮想通貨を運用商品として取り扱って欲しいという依頼が出始めています。

 

ゴールドマンサックスなどの投資銀行は、顧客のニーズに応える形でビットコインなどの運用商品を準備されていると言われています。

 

また、ムーディーズやスタンダード・アンド・プアーズなどの大手格付け機関も仮想通貨ビジネスに関心を示しているとされています。

 

ゴールドマンサックスなどの投資銀行が仮想通貨ビジネスを始める場合、それぞれの仮想通貨に担保を設定する際、格付けニーズが発生する可能性があるためです。

 

金融機関の仕事の一つとして、顧客が預けている株式や債券などの証券に対して担保を設定し、流動性を供給することがあります。

 

担保設定のためには格付けが必要になり、政府が発行している国債や大手企業の株式などには格付け機関による格付けが行われています。格付けの高さに応じて金融機関は担保を設定し、供給する流動性の大きさを決めることになります。

 

ゴールドマンサックスなどがビットコインの商品を取り扱えば、格付け機関が仮想通貨に対する格付けを開始し、ビジネスの拡大が見込めるわけです。そのため、格付け機関も仮想通貨に対して好意的なスタンスを取っていると言われています。

 

商業銀行にとって仮想通貨は商売敵?

 

ビットコインなどに対して好意的な投資銀行や格付け機関とは違い、個人向け金融業務を行っている海外の商業銀行は仮想通貨に対して敵対的な方針を取っています。

 

2017年9月にJPモルガンのジェームズ・ダイモン最高経営責任者(CEO)が、「ビットコインは詐欺であり、オランダのチューリップバブルよりもひどく、遅かれ早かれ崩壊する」と述べました。

 

この発言でビットコインなどの仮想通貨は急落し、投資家の多くが動揺しました。10月に入ってから仮想通貨の価格は落ち着きを取り戻しましたが、政府の規制だけではなく、金融機関トップの発言もビットコイン価格に大きな影響を及ぼすことが確認されました。

 

海外にあるJPモルガンなどの商業銀行は、個人の送金業務などで莫大な利益を上げており、仮想通貨の台頭によって貴重な収益源を奪われる可能性があります。

 

この危機感から、「ビットコインは詐欺」とダイモンCEOは話したのではないかと推測されています。

 

同じくアメリカの大手商業銀行であるシティグループのマイク・コルバットCEOは、「ビットコインなどはマネーロンダリングの懸念があり、仮想通貨ビジネスには参入しない」と10月にコメントしています。

 

匿名性の高さが仮想通貨の持ち味ですが、個人取引を行っている海外の商業銀行にとっては、犯罪者やテロリストがマネーロンダリングの手段としてビットコインなどを使っているのではないかと疑問を持っているわけです。

 

次回は、ロシアで物流系のICO企業が多く誕生している背景などについて解説する予定です。先進国を中心として、物流競争が激化していますが、ロシアで登場している物流系ICO企業のビジネスモデルなどを説明します。

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